ニッチな分野である「シュリンク包装」。
シュリンク包装機メーカーである当社にも、どの機械を選べばよいのかわからないというお話もよくうかがいます。
今回は、これからシュリンク装置の導入を検討される方に向けて、3回にわたって装置の選び方をご紹介いたします。第一弾は「シュリンク包装とは」。まずはシュリンクの仕組み、目的、種類などをお伝えいたします。
<シュリンク装置の選び方ガイドシリーズ>
②シュリンク包装に必要な設備とは?
③ シュリンク装置の選び方
シュリンクは英語でshrink(縮む)という意味です。
シュリンク包装とは、熱を加えることで収縮するフィルムの性質を利用し、容器にそってぴったり収縮させる包装のことです。清涼飲料などのPETボトルや調味料などの食品、化粧品、医薬品、生活用品など広い分野で採用されています。
シュリンカーやシュリンクトンネルなどメーカーによっていろいろな呼び方がありますが、すべて「シュリンク=縮ませる」装置です。
ちなみに、真空包装して鮮度を保つことはできますか?という問い合わせをいただきますが、シュリンクフィルムには熱をかけて縮む際に中の空気が逃げていくように、小さな穴が開いています。そのため、真空包装のように中のものが外の空気にまったく触れない、ということはできません。
保護・・・シュリンク包装は容器全体を覆うことができるため、商品の保護・異物混入防止の効果があります。また、開封前ということがわかり、開封防止に役立ちます。
意匠性・・・表示面積を大きくとれることから商品PRに適し、注意書きの必要な薬品でも重宝されています。デザイン面が大きいため、製品の顔として表現の幅が広がります。従来は難しいとされていた、高輝度、マット、ホロ加工もシュリンクフィルムの進化により可能となり、商品に際立つ存在感・高級感を与えることができるようになりました。
画像出典:画像出典:シュリンクラベル-LXシリーズ|福島印刷株式会社
集積・・・複数の商品を1つにする際、商品によってはシュリンクで簡単に行うことができます。箱やテープなどの資材がいらず、シールなどの手間も軽減します。
環境対策・・・シュリンク包装はラベルをはがしやすいため、分別のしやすさもメリットの1つです。
容器に直接印字をしたびんやアルミに比べ、リサイクルが容易という点でも環境保護に貢献する包装として注目を集めています。また、ブリスター包装から台紙付きシュリンク包装への切り替えで、包材における樹脂使用量を大幅に削減できたという事例もあります。
多品種小ロット生産・・・容器に直接印字をしないので、急なパッケージの表示変更にも印刷済の容器を無駄にせず対応することが可能です。また、季節ごと、イベント用など、フレキシブルな商品展開にも適した包装です。
上記で述べたシュリンクの目的に応じて、シュリンク包装の種類も使い分けることができます。たとえば、ジャムの瓶をシュリンクしたいとき、パッケージをおしゃれに、表示面積も増やしたいというときは、下から上まで全部を包むラベルシュリンクが効果的です。一方で、開封防止が目的の場合は、キャップ部分だけのシュリンクも可能です。
シュリンク包装の種類によってフィルムの形も違います。
また、L型シュリンクやRシュリンクは商品の保護や集積が目的で使われることが多いので、透明なフィルムが多いです。
シュリンクフィルムは、熱を加えると縮む特別な性質を持つフィルムです。PET、OPS、ハイブリッドなどの材質があり、それぞれ特徴があり使い分けています。
今まで容器に直接印字されていたり、シールを貼っていた方が、シュリンク包装を始める際、フィルムのロットが多くて在庫が余ってしまうのではないか、無駄にコストがかかるのではという質問もよくいただきます。
従来はほとんどが大量品向きのグラビア印刷で生産されていましたが、近年はデジタル印刷機で生産することにより、少量生産が可能になりました。
「連番」や「ユニーク(個別)コード」など、1枚ずつ異なる写真やデザインを挿入した印刷もでき、強い訴求力を持つ表示も可能となりました。
第一弾はシュリンク包装とは何かというところから語っていきました。ラベルシールや化粧箱、様々な包装形態がある中で、これからシュリンクを始めようという方にとって、ためになる情報になればと思います。そして、メリットを知ったうえでシュリンク包装にチャレンジしてみようと思っていただけたら幸いです。